One to Go

和書・マンガの評価と感想の記録。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

[読書メモ] 日本仏教史―思想史としてのアプローチ



同じ仏教でもインドとも中国とも異なる日本の仏教は、どのような変化を遂げて成立したのだろうか。
本書では6世紀中葉に伝来して以来、聖徳太子、最澄、空海、明恵、親鸞、道元、日蓮など数々の俊英、名僧によって解釈・修正が加えられ、
時々の政争や時代状況を乗り越えつつ変貌していった日本仏教の本質を精緻に検証。
それは我々日本人の思想の核を探る知的興奮に満ちた旅でもある。(Amazon)

読んでみると思いのほか素晴らしくて夢中で読めた。
本書は日本における仏教思想の変移史だ。
インドで生まれ中国を経由して日本に持ち込まれた仏教が
日本でどのように変化し今日に至ったのかその概説書となっている。

面白かったところを摘んで言うと,
梅原猛の仏教感にも出てくる草木国土悉皆成仏,
「大乗起信論」などで導き出される本覚思想のことなんだが。
これが日本で趨勢を誇っている大乗仏教でなぜ重要となっているのか。
どのように反論されたりで今日に至ったかという,興味のある内容数々。
そしてそれが現在の葬式仏教に繋がったのか,
これらがコンパクトにまとまっている。

別に葬式仏教があってもいいし,
年をとってから般若心経を写経しだしてもいい。
ただ私が興味が有るのは,仏教の中でもその思想である。
我,自己,主体これらの存在を仏教ではどう考えるか
それだけにしか興味がないと言い切ってもいい。

ちょっとここで先ほどの本覚思想について話そう。
本覚思想とはすべての人々が仏性をもっているということだ。
仏性というのは仏になれる性質で,
これがあるから今日の仏教は死ねば仏になるという設定が生きている。
私は死んだ後のことなんてどうでもいいと思ってる。
死んだとしても地獄や天国なんてないだろうし,
虚無に沈むただそれだけだし,それでいい。
問題なのは生きている内のことなのだ。
ここらへんの浄土観も本書では扱っている。
で,鎌倉仏教では親鸞や道元などが現れて
なぜ仏性をもっているのに修行する必要があるのかという疑問を提示し本覚思想批判に繋がる。
死んだ人間が仏様になる,なら釈迦はなぜ修行者の集団を作ったのか。
(まぁそもそも原始仏教に葬式のことなんて扱ってない,死後も。)
そして仏性があるんだから修行しなくてもいいやというやからが出てくるわけだ。
日本の仏教というのは昔から権威と結びついていて,常に堕落の道をたどっている。
しかしそこで変革が起きているというのも忘れてはならない。

恐らく釈迦の教えというのは北伝仏教の流れを組む
多様性を受け入れた大乗仏教にはほとんどないだろう。
多様性を排し閉塞的であることを受け入れた南伝仏教にこそ
釈迦の教えは息づいていると思う。
(詳しくは大乗非仏説でも各自勉強してください。)
東大のインド哲学科なんかは,原点に回帰して原始仏教なんかを研究しているし
中村元の本なんかもその系統だ。
彼の本は素晴らしい,以前に感想を書いた
「ブッダの人と思想 」や「ブッダのことば―スッタニパータ」などオススメ。
ただ釈迦死後のアビダルマ時代の釈迦の思想の考察や,
空の理論を展開させたナーガルジュナなどの中観派や
唯識の思想を発展させた世尊などの唯識派などにも意味はあったと思っている。
大乗仏教にも信徒の増大という意味合いも無視することは出来ない。
肝心のインドでは仏教は一度滅びたし。
道元も大乗経典である法華経を親しんでいたし,
法華経は天台や日蓮などの宗派を支えたり生み出したりする力をもっている。

ここで親鸞や道元の話に戻る。というか道元だ。
私は公案を重視する臨済禅に最初影響を受けたが今はまったくない。
禅問答(公案)の理解は主観に満ち満ち過ぎていて学問的理解が及ばない。
(狗子仏性なんかは学問的理解されているが)
それもいい,宗教的体験というのは極論を言えば主観だ。
釈迦が菩提樹の下で悟りを得たが,その悟りというのはなんだったのか
経典の中で出てくることとはない,これは釈迦個人の体験,主観だからだ。

臨済禅に対する曹洞禅に興味があるというか,曹洞宗開祖道元の禅に興味がある。
曹洞禅にも今のところ興味が無い,というか把握する暇がない。
前に読んだ本で道元の著作・正法眼蔵は江戸時代辺りまで曹洞禅でもあまり読まれてなかったらしいし。
道元は本覚思想批判をしたが,これは一切衆生悉有仏性という言葉の禅宗での意味の取り方にある。
ここらへんは「哲学のエッセンス・道元」を読んで貰えだいたい分かるはず(この話をすると長くなるのでカット)。
道元の禅には悟りがないという(黙照禅),悟りはあるんだがそれが私達には分からないのだ。
我のよりどころである阿頼耶識で悟りを掴むなどというのは言語道断だ。
そこで修証一等である,これは修行と悟りは一緒なのだという意味だ。
(ここでの修行は坐禅を含む生活全て。)
だからこそ修行している時その人は悟り続けているのだ。
故に悟りたいという思いすらすてて坐禅をする,これが只管打坐である。
過去もなく未来もなく,我すら捨てて坐るこれだ,ここに仏がある。

ここで仏教から離れるて思想の話。
最近自分の頭で考えようというような本が売れている。
まぁ自己啓発と同じようなジャンルにあり時間をかけずに読むことが出来る,私はこれにほとんど興味がない。
哲学というのもがあるが,これは大部分が西洋のキリスト教観の思想だ。
特に話題となる近代哲学デカルト以降だ。
私はキリスト教に今のところ興味がない,別に神がいようがいまいがどうでもいい。
ただ旧約も新約も重要そうなところは一応かいつまんで読んだが読んだだけ。
キリスト教から離れる哲学のポストモダンなんかも興味なし,
しかもこういうのは以降続くか分からないところがある(ユングとかフロイトとか)。
学問として確立されても直ぐに廃れてしまうというのがあるので,
やはりそうなってくると学術的に長く続いている思想や,宗教が興味の対象となってくるわけだ。
だが,これらはある程度知識を貯めないといけないため入り口をくぐるのが難儀だが,パッと消えそうな思想よりは良い。
そして興味ないというのはかけられる時間が恐らくないだろうという話。
暇だという言葉があるが,読書をしているとあれも読みたいこれも読みたいと次々出てくるし,
往生しても読んでない本の方が多いのは明らかだ。
神は信じていないが,ただ法はあると思う。
この法は善悪といった人間に都合のいい法ではない。
世界の有り様とでもいうものだ。
大乗仏教でいうところの大日如来と言い換えても,
バラモンのブラフマンといってもいいかもしれないが。

ここらへんの仏教思想を再確認できるいい本だった。
特に学問的ここらへんはまだ分かってないという現状も
書かれているのは知らなかったことが結構あった。

これが30代を目前にせまった私の思想の一部だ。
こういう思想に行き着いたのも,社会で成功をおさめたものも,
教養あるものも,私は素晴らしいと思えなかったところにある。
我の極地といおうか,己というプライドを最高潮まで高めた人というのが見るに耐えない,そう感じたのだ。
そして色んな思想に触れた,そうして道元の「自己をならふといふは、自己を忘れるるなり」に行き着いた。
我を極めるというのは我を忘れる,そういうことなのだ。
お前などどうてもいい,では亡くなった我になにが来るかそれが仏だ。

う~ん,これ本の感想じゃないな。
取り敢えず読書メモに入れとこう,
あ,評価は☆☆☆☆☆で。

a1380_001474small.jpg

関連記事

  1. 2013/11/16(土) 08:09:17|
  2. 読書メモ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<[日記] チーズバーガー美味しい・他 | ホーム | [映画] グッバイ、レーニン! ,クレヨンしんちゃん バカうまっ! B級グルメサバイバル! ! >>

コメント

宗教的な思想は、なかなか難しく理解しがたい・・・そんなイメージですが、
それでも人々が長い年月かけて
心の拠りどころとしてきたのですから、
学問として捉えてみても
学ぶことはたくさんあるかと思います。

まずは読みやすいものから入って
原典に辿り着けるといいな。。。が、私の理想。
  1. 2013/11/16(土) 11:55:11 |
  2. URL |
  3. mika #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> 宗教的な思想は、なかなか難しく理解しがたい・・・そんなイメージですが、
> それでも人々が長い年月かけて
> 心の拠りどころとしてきたのですから、
> 学問として捉えてみても
> 学ぶことはたくさんあるかと思います。
>
> まずは読みやすいものから入って
> 原典に辿り着けるといいな。。。が、私の理想。

mikaさん コメありがとうございます

それでいいと思いますよ,原典はとっつきやすいのとにくいのがありますから。
  1. 2013/12/08(日) 02:51:26 |
  2. URL |
  3. ヒメキリン #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://kiironokirinn.blog77.fc2.com/tb.php/663-bda16eb8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

ブログはコチラ(現在休止中)で。

ヒメキリン

Author:ヒメキリン
高知在住・読書している20代。
本は図書館で借りるのが多いです。

検索フォーム

最新記事

カテゴリ

読んだ本・マンガは,下記の「~のリスト」にリンク貼っています。参考にしてください。

評価について (2)
読んだ本のリスト (1)
読書メモ (18)
本 ☆☆☆☆☆ (12)
本 ☆☆☆☆ (100)
本 ☆☆☆ (83)
本 ☆☆ (8)
本 ☆ (0)
読んだマンガのリスト (1)
漫画 ☆☆☆☆☆ (8)
漫画 ☆☆☆☆ (36)
漫画 ☆☆☆ (14)
漫画 ☆☆ (3)
漫画 ☆ (0)
酒の評価について (1)
酒のリスト (1)
酒 ◎ (8)
酒 ◯ (12)
酒 △ (2)
PC・ガジェット (10)
メモ・日記 (311)
DVD・TV・映画 (70)
ゲーム (7)
未分類 (0)

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

月別アーカイブ

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

RSSリンクの表示

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブログランキング

よければクリックしてください。


高知県 ブログランキングへ

運営の方からポイントを振り分けて欲しいとの 連絡があったので,本のカテゴリにも登録しました。
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
にほんブログ村 地域生活(街) 四国ブログ 高知県情報へ
にほんブログ村

アクセスランク

相互リンクとブロともに関して

3ヶ月以上更新がないブログは,相互リンク・ブロともともに一度解除させてもらう場合があります。ご了承ください。再開した時は,もう一度申請してくれれば受け付けます。

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

◯◯◯

バイトサイト

スポンサードリンク

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。