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[読書メモ] 水死



母の死後10年を経て、父の資料が詰め込まれている「赤革のトランク」が遺言によって引き渡されるのを機に、
生涯の主題だった「水死小説」に取り組む作家・長江古義人(ちょうこうこぎと)。
そこに彼の作品を演劇化してきた劇団「穴居人(ザ・ケイヴ・マン)」の女優ウナイコが現れて協同作業を申し入れる。
「森」の神話と現代史を結ぶ長編小説。(Amazon)

いつもの大江健三郎作品。
以前読んだ批評(多分,群像の後期作品での大江健三郎特集)の中で
大江健三郎が自分にとって父はアイロニーとして小説で使うことが出来ぬほど
自分に暗い影を落としているという対談を引用していた。
そして本書である。
(その批評はこの作品の前に出ていたはず。)
かつて古義人(大江健三郎がモデル)は父の死を小説にしようとし母と一時義絶した過去がある。
(この時書いた小説というのが「みずから我が涙をぬぐいたまう日(講談社)」だと思う。)
母の死後,妹から母の保管していた赤いトランクを渡されることになり
父の死を題材にした水死小説を再び書き始めようとする。
この父の死に関することは,最新作「晩年様式集 イン・レイト・スタイル」でも
ギー兄さんのことと共に述べられていて,そしてラストのシーンを飾る。
これらのことからも大江健三郎の中で父の影響というのはかなり大きい。
しかし本書でも示されている通り,父の死について真相に迫ることはない。
これはこの小説の早い内に分かることだ。
そしてその真相という空白を埋めるがごとく,
彼は小説という虚構による父の死の真相を組み上げていくことになる。
これが後期作品のすべて,自己言及,自己模倣と蔑もうが彼の虚構構成力は素晴らしい。

本作の批評をいくつか読んだんだが
その中で大黄を右,ウナイコを左と捉えたイデオロギー的批評を目にしたが
大黄は「取り替え子」なんかからもまだ見れるが,ウナイコを左と見るのは結構無理があるような。

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  1. 2013/11/04(月) 16:46:35|
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