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[本の感想] 道元を逆輸入する



こんな道元を待っていた。英語で読めば「現成公案」は、そして道元は、かえって身近になる! (Amazon)

これが今,一般の人が読むことのできる適切な
道元研究に関する仏教書だと思う。
著者・ネルケ無方は,安泰寺の住職だ。
この安泰寺というのは道元研究を目的としてつくられた
檀家を持たない禅寺だ。

「禅が教える「大人」になるための8つの修行」(祥伝社新書)で
正法眼蔵の最終巻・八大人覚が現代語訳された時,
他の正法眼蔵の巻も訳が出ないかなと言ったが,
そのド本命の現成公案のが出た。

・参考 禅が教える「大人」になるための8つの修行

この本では,正法眼蔵を英訳した後に
それを現代語訳するようなカタチになっている。
こういう経典が英訳されたもので,
パッと思いつくものに最近では般若心経を
現代語訳・英訳した「生きて死ぬ智慧 」が
あるが私はこういう試みは好きだ。
経典は意味の分からない歌などではない,教えなのだ。
意味の分からないままそらんじていったとしてソレがなんの意味になるのだろうか。



原文が悪いと言わないが,正法眼蔵の現成公案なんかは
難解すぎるのでやはり現代語訳というのは必要不可欠だと思う。
学術的な説明でなく,より一般の人に分かりやすい解説なら
この本で間違いないと思う。
あまりに深く潜りすぎると,正法眼蔵は身を滅ぼしかねない。
もちろん,彼の道元の思想の解釈は実に面白いと感じた。

本書は,1部で道元の生涯を振り返り
2部でいよいよ現成公案の訳に進んでいく。
1部の道元の生涯に関する考察は
私は今までの道元の生涯に関するもので,
すごく納得のいくものだった。
道元の伝記については,
「永平の風―道元の生涯」や「道元禅師」など多く出ているが,
これらの本の道元の持ち上げ具合というのは,
読んでいて少々ツラかった。



別に嫌いとというわけでなく,これはこれでいいんだが,
伝記なんてのは,英雄譚みたいなもんだが,
そんな上に持ち上げられてもなぁという思いが常に私の中にあった。
私は別に絶対的創造神を信奉しているわけではないし,
道元は日本の曹洞宗開祖であるかもしれないが,
それ以前に道元もただ人間なのだ。
別に彼を信仰するのは構わないが,私はしない。
それで構わない,それでいてこの道を進もうと思う。
著者・ネルケ無方の道元の生涯の振り返り方は,
道元という現実的な人間を私の前に表してくれる。
これが読みたかった。
どんな人間でもたかだか100年しか生きれないのだ,
全てに満ち足りるにはあまりにも短い時間だろう。

そして2部では,現成公案の訳が始まる。
この本ではじめの文を少しだけ訳して
最後から訳をし始める。
こちらのほうが,彼は現成公案を理解するのに良いと言う。
まぁ,現成公案に対する見解を示している市販本は,
「諸法の~」をすごく念入りに訳していくし,
現成公案は最初の文の方が難解なのは読んだ人なら知っているだろう。
しかもいきなり分節された世界や無分節された世界なんかの
話をされても一般の人が原文で読むがごとく
チンプンカンプンで同じようなことになるだろう。
そういう世界観を踏まえていることを言いつつ,
一般の人に分かりやすく説明する,これがこの本の最大のポイントだと思う。
別に学術的に勉強したい人は,道元に関しては色々出ているし,
そこら辺は困らないだろう。これはそういう本ではないのだ。
そもそも正法眼蔵は学術研究をするために道元が書き記したのでなく,
あくまでどのように生活すればいいのか,その実践を教えるためのものだ。
ところどころ話が大きく脱線するが,
これも道元の世界観だけでなく,仏教に限らず東西様々な話が登場し
読んでいて飽きることはない。
学生時代哲学を勉強しただけあって,こういう話の引き出しはすごく広い。
これがこの本を読んだ,1周目の感想だ。

☆☆☆☆☆

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  1. 2013/07/03(水) 06:22:03|
  2. 本 ☆☆☆☆☆
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

僕もやっちゃったクチですけど、
道元の抽象性がもたらす空白を、
ウィトゲンシュタインやハイデガーで埋めることは意外とかんたんで、
~と通じるところがある、なんてやってしまうのは、
そこは、ぐっとこらえるべきだと思っています。
鎌倉時代の、おそらくは精神を病んだ、潔癖症の、文学好きの僧、ってのを忘れてはいけません。
正法眼蔵は文学として鑑賞するのがいいような気がします。
  1. 2013/07/04(木) 21:50:09 |
  2. URL |
  3. 青梗菜 #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> 僕もやっちゃったクチですけど、
> 道元の抽象性がもたらす空白を、
> ウィトゲンシュタインやハイデガーで埋めることは意外とかんたんで、
> ~と通じるところがある、なんてやってしまうのは、
> そこは、ぐっとこらえるべきだと思っています。
> 鎌倉時代の、おそらくは精神を病んだ、潔癖症の、文学好きの僧、ってのを忘れてはいけません。
> 正法眼蔵は文学として鑑賞するのがいいような気がします。

青梗菜さん コメありがとうございます
そこら辺を西洋哲学で埋めちゃうと
ばりばりのアカデミックになっちゃうんで
その手前でやめるのがいいんじゃないかと思います。
私は結構心の支えとして大いに役だってます。
  1. 2013/08/06(火) 03:17:07 |
  2. URL |
  3. ヒメキリン #-
  4. [ 編集 ]

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