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「新世紀読書大全 書評1990-2010」という
絶対に人にはオススメできない書評を読んだ。
映画、SF、コミック、宗教、悪趣味、セックス、スポーツ、殺人、来るべき未来…20年間にわたって書かれた書物の百鬼夜行。ラジカルな読書人のための超弩級最強書評集。(Amazon)
なぜかというSFや怪獣,テレビなんかの項目についで
最近私的に注目している作家・中原昌也という項目があったので。
なぜか名前が項目に載っているという,こういうのはすごく気になるじゃないか。
でも他の項目はド○ッグ,連続○人鬼,○刑,ポ○ノ・・・・などともう危ない方たちがぞろぞろ。
こういうブラックなのは私はちょっと苦手なんで,
おっかなびっくりと中原昌也が載っているので読んでみた。
読んでみるとこれがなかなか面白い書評が他にも見受けられてどっぷり読んでしまった。
もちろんブラックなのはパスで。
映画・ウォッチメンの書評なんかすごくいいなぁと思った。
人を殺さず正義を行うというアメリカの正義の理想形,その否定がウォッチメン,そう見るか。
人が百人いれば百通りの感想があるけど,刺激的な見方に出会うというのは嬉しい。
そして,その中の一つに,京極夏彦の「鉄鼠の檻」があった。
「鉄鼠の檻」ってのは,ある奇妙な(複数の宗派が一つの寺にいる)禅寺で起こる
僧侶連続殺人事件のミステリで小説家・京極夏彦の十八番である百鬼夜行シリーズの一つだ。
拙僧が殺めたのだ! 禅寺が舞台の大長篇。箱根山中の宿、仙石楼と謎の寺、明慧寺。深く閉ざされた環境に起こる連続僧侶殺人事件。突然「降ってきた」坊主の死体の意味を果たして中禅寺秋彦は解けるのか?(Amazon)
著者はこの本を禅入門にピッタリの作品といった,よくよく考えるとこれが案外的を得ている。
この作品の中にある複数の宗派というのは,臨済宗・曹洞宗という単純なものでなく
もっと細かい,例えば臨済宗の五山派や妙心寺派などの派閥である。
そもそも禅宗を全体として見れば信徒の数はそれなりだが,
他の宗派と較べて,臨済宗・曹洞宗の中でも多くの宗派に分かれている。
これは禅宗が禅定(修行法)には命を懸ける必要があるためだと,鉄鼠の檻の京極堂は言っている。
それはそうだろう,修行を公案(禅問答みたいなもん)と坐禅のどちらに重きをおくかですら分かれているのだし。
これは縮図なんだ,禅という強大な箱庭でミステリーを展開する,これが京極夏彦の凄まじい力量故。
他の禅宗関連の本を読むよりこの本を2度3度読むほうが禅の理解が進むと個人的に思っている。
こういうことを書かせたら京極夏彦はNo1だよなぁ。
流石のウンチクだと感嘆する,
百鬼夜行シリーズを私はミステリよりウンチクとして楽しんでいる方が多いかな。
もう何度めか分からない再読だが,数時間かけてスラスラと読んでいく。
この流れる水のような読書スピードは,再読ならではのものだ。
再読もいいもんだ。お気に入り本というのは何度読んでも新しい発見がある。
ラストで出火後から遺骨が1人しか出なかったというのは,
もう1人が入滅したという解釈でいいんだよね。
中原昌也のは機会があれば今度。
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- 2013/05/11(土) 23:55:00|
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